精神科作業療法とは
精神科作業療法とは、精神科治療におけるリハビリテーションの一つですが、「精神科のリハビリってなに?」「作業療法ってなに?」と疑問に思われる方も多いと思います。ここでは、そんな疑問にお答えする形で、精神科作業療法についてご紹介いたします。
病気やケガの治療の一環でリハビリテーションを実施する事は一般的になっています。
もちろん精神科でも、リハビリテーションは実施されています。
障がいをもった人が、自分たちの暮らしている地域の中で新たな人生を獲得するために、自分自身で回復していく事がリハビリテーションなのです。
私たち作業療法士は、障がいをもった人が自分の持っている力を最大限発揮できるようになるお手伝いをしています。
私たちは誰もが自身の身体を使い様々な活動を行う事で生活を成り立たせています。
そういった普段、人が生活の中で行う諸活動(『作業』)により回復を目指す治療の事を、『作業療法』といいます。
「お風呂に入ること」「着がえること」「食べること」「トイレに行くこと」「休息・睡眠をとること」…など、日常に欠かせない事から、「友達と遊ぶ」など人と接する事や、「ものを作る」「音楽を聴く」「スポーツをする」「旅行を楽しむ」といった事までも『作業』に含まれます。
日ごろ私たちが行っている『作業』は、健康な生活をもたらすものです。
しかし一方で、健康を損なうストレスや、生活上の悩みをもたらすこともあります。
作業療法では『作業』の良い面・悪い面に向き合うことで、患者さんが自ら対処できる力を身に付けていけるようにしています。
社会生活をする上で起きる様々な悩みに対処したり、なりたい自分を目指して向かっていく助けになります。
具体的には…
起きる時間が定まらないから、仕事に間に合わない | 生活にリズムをつけたい | |
ぜんぶ全力で頑張ってしまうから、途中で疲れてしまう。 何もする気が起きなくて、ダラダラ過ごしてしまう | 生活にメリハリをもちたい | |
じっくりと好きなことに集中して取り組めない | 落ち着いた時間をもちたい | |
生活のなかで楽しみが少ない | 趣味・楽しみを見つけたい | |
人に声をかけたいけど、どうやっていいかわからない。 声をかけるのが怖い・抵抗がある | うまく人付き合いができるようになりたい | |
退院したけど不安。 なにをどう準備したらいいかわからない | 社会復帰をしたい |
『作業』をすることで期待される効果として、
■ 活動する事で体力や集中力が向上する
■ できた事を評価されて自信がつく
■ 決まった時間に起きる・食事や薬をしっかり摂るなど、日常生活をより良くする方法を身につけられる
■ 人の話をきちんと聞く、人に話を上手く伝える方法を身につけられる
■ 物事を上手くやり遂げられるようになる
■ 作業に集中する事で、ストレスとなる事から注意を逸らせる
当院の精神科作業療法で行っている「プログラム」をご紹介します。
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | |
午前 | スポーツ | リラックス | 自由 | グループワーク | 自由 | 【S4東】 病棟OT |
午後(1) | すてっぷ | 【S2】 病棟OT | 【S1】 病棟OT | 【S4東】 病棟OT | 【S1】 病棟OT | 【S2】 病棟OT |
午後(2) | 【S1】 病棟OT | 【S4東】 病棟OT | 【S4西】 病棟OT | 【S2】 病棟OT | 【S3】 病棟OT | |
午後(3) | 【S3】 病棟OT | 【S4西】 病棟OT | 【S3】 病棟OT | 【S3】 病棟OT | 【S4西】 病棟OT | 【B4】 病棟OT |
精神科作業療法室で行っています。 それぞれの病棟で行っています。
自由
手工芸・書道・絵画・工作・読書・折り紙などの作業を、本人の希望を踏まえて各自で取り組みます。比較的静かに作業に集中するグループです。
スポーツ
屋内・屋外で、みんなで身体を動かすグループです。
話し合いで活動の種目を決め、準備や片付けも参加者が中心になって行います。
グループワーク
参加者が活動の中心になって、ゲームやレクリエーションを実施します。
話し合って計画を立て、参加者から毎回のリーダーを出して運営します。
リラックス
こころと身体のバランスを整えるためのプログラムです。
内容は週替わりで、ストレッチ、マインドフルネス、アロマなどを実施しています。
すてっぷ
心理教育やSSTなど、心理社会的アプローチのグループです。
健康な生活を送れるように、病気、治療、福祉などの知識を学んだり、困難な状況を処理するための技法を身に付けるプログラムです。
病棟OT
それぞれの病棟ごとの特徴に合わせて実施するプログラムです。
退院後の生活に向けて、生活リズムを整える、活動性を保つことが大切です。
まずは、病棟OTに参加するところから健康な生活を取り戻していきましょう。
このほかにも、調理訓練・外出(買い物)訓練など、一人ひとりの目標に合わせた個別プログラムも実施しています。心理教育やSSTは個別に実施する場合があります。
また、精神科病棟のレクリエーションの企画・運営も行っています。
精神科作業療法に参加するには、主治医の『処方箋』が必要です。
参加を希望される方は、主治医・看護師・作業療法士にご相談下さい。
あるいは、主治医・看護師・作業療法士に参加を勧められる場合もあります。
処方箋が発行されると、各病棟を担当する作業療法士が面接に伺います。
そこから、精神科作業療法の始まりになります。
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